日時:2010年9月25日 15:13 | Permalink
絵画特別展「和田コレクション 桜井浜江展ー繰り返す生命の輝きー」
2010年10月5日(火)~11月28日(日)
桜井浜江(さくらい はまえ)は1908年(明治41)山形市の素封家に生まれ、女学校時代、絵画制作に興味を持ち、1926年(大正15)家出同然に上京し、岡田三郎助、里見勝蔵に学びました。独立美術協会の独立展に第一回展より入選し、三岸節子らと女流画家協会を創立するなど、女性洋画家の先駆けとして活躍し、精力的に制作を続け、2007年(平成19)に98歳で亡くなりました。太宰治と交流を持ち、短編小説『饗応夫人』のモデルともされています。
作品名 「人物(Ⅰ)」 1988年
一宮市三岸節子記念美術館 (順不同・敬称略)
今回の特別展では、甥であり桜井芸術の深い理解者である和田武氏のコレクションを展示いたします。桜井がアトリエで長く愛蔵していたもので、力強い筆致と豊かな色彩の「壺」、「樹」、「花」など代表的な画題が揃い、桜井芸術の真髄が凝縮されたコレクションです。
「心の底から盛り上がるもの 地の底から湧きあがる力 そんな作品にしたい」 との心情のまま、桜井浜江が画肌に込めた生命力とその輝きをぜひ、感じてください。
「人物(Ⅰ)」と桜井浜江
和田武氏撮影
ベニヤ板に鉛筆で記した制作への想い 1998年
1956年12月号の『美術手帖』、独立展に出品した
「樹」に寄せた作家の言葉より抜粋してパレットに書いた。
30年ほど前、東京都三鷹市にある叔母、桜井浜江の古いアトリエの片隅に、小さな壺の絵があった。寂寞感の漂う青白い壺は、下辺が剥離し痛々しく、戦後、仲間と度々訪れていた作家、太宰治が、壺の絵を「売れない絵」と決め付けた残像を見る思いがしました。
しかし時がたつにつれ、凝縮された魂が塗り込められたように思える、この絵が欲しくなり、手放すことをためらう叔母より譲り受けました。この絵の作意を尋ねたところ「どんな絵も魂を込めて描いてます」の一言のみでした。一本の線、一つの点にも厳しく、生命感あふれる壺の絵を、生涯描きました。 和田 武
作品名 「壺(Ⅲ)」 1946年頃
作品名 左より
「花(Ⅱ)」 1955年 50年以上前に桜井より和田氏に贈られ、コレクションの始まりとなった作品。
「花(Ⅱ)」の 裏面
「赤富士」 1950年頃
作品名 左より
「あじさい花」 1985年
「花(Ⅰ)」 1989年
「樹(Ⅱ)」 1980年頃
作品名 左より
「樹(Ⅲ)」 1987年
「木(Ⅰ)」 1970年頃
作品名 左より
「波」 1992年
「太陽と樹」 1984年
尚、常設展 『カメイコレクション展 Ⅲ期』 も開催しております。