亀井昭伍コレクションの中から、戦前（昭和１０年代）までに製作された、古作こけしと称される貴重なこけしを展示いたします。

こけしは、東北地方固有のもので、江戸末期の文化・文政期（1804～1830年）に木地師が創り出したものと云われています。

私が子供の頃、仙台近辺ではこけしを「木ぼこ」と呼んでおり、どこの家にもある身近な玩具でした。戦後、鳴子に住む漆工家の伯父を訪ねた時に、二人の工人に出会い、各地を転々として廻った木地師の苦労話を聞き、胸を打たれたものです。

昭和20年代から30年代にかけ、仙台の居酒屋”炉ばた”で、囲炉裏を囲んで天江富弥さんから伺ったこけしの探求への蘊蓄は、私をこけしの世界へ引き込む大きな説得力となりました。

それから50数年、こけしのとりこになった私は、戦前戦後のこけしを蒐集して参りました。

 

東北六県に分布するこけしは、その地方独特の文様や表情をしています。最小限の空間の中に、古来の東北人の顔・文化・風土を表現しており、東北の誇る文化的財産と云えましょう。

 

『古作こけし名品録　亀井昭伍』　こけしと私　より

 

 　　樋渡　治一

 

　水野　達也

 

　　左：小椋　嘉市　　右：小椋　正治

 

　　左：藤原　政五郎　　右：山本　与右衛門

 

＜同時開催＞

齊藤純廣コレクションより「今晃おひなさま展」

2月27日（火）～3月25日（日）まで　

（うれし楽し蔵deひなまつり　協賛）