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亀井昭伍コレクションより「古作こけし名品展」
亀井昭伍コレクションの中から、戦前(昭和10年代)までに製作された、古作こけしと称される作品を展示いたします。
戦前に東北地方で生まれ育った小生にとり、東北育ちのこけしをこよなく愛する気持ちが沸々と湧いて来るのを禁じ得ません。
古くからの日本の原風景、とりわけ東北みちのくの奥深い田舎の風景の中で、湯治場に近い森林に囲まれた木地集落の木地師が、一心不乱にロクロを踏んでいる姿は、一幅の画に他なりません。
木地師たちのつくるこけしは1本として同じこけしはなく、その時の感情、時期、体調で筆の走りも異なり、多様な表情のこけしが出来上がります。つまり、工人の年令、性格、生活環境、生涯遍歴、師弟関係等もこけしの中に深く刻まれて居ります。1本のこけしをじっと見つめても、それらの背景が脳裏をかすめ、興味は尽きません。
昭和30年代は、よく工人廻りをして話を聞いたりしましたが、最近はその機会も少なく、甚だ浅学ではありますが、長年こつこつ集めている中に、この郷土玩具への郷愁が、心に濃く滲んでくるのをひしひしと感じて居ります。
こけしへの想い 亀井昭伍 私記①より 『古作こけし名品録』
◆同時開催◆
2月26日(火)~3月24日(日)
齊藤純廣コレクションより 「今 晃 おひなさま展」
掲載 2019年01月21日