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亀井昭伍コレクションより「古作こけし名品展」
亀井昭伍コレクションの中から、戦前(昭和10年代)までに製作された、古作こけしと称される作品を展示いたします。
こけし工人の作品が、その時代の風潮を反映するのは、ごく自然のことと思われます。
文化・文政時代の発祥の頃は、ごく素朴な幼児の遊び道具としての形態だったと想像されますが、ろくろ技術の変革やこけし産地の風土などが加味され、全体的にこけしとしてのまとまりを形成してきたと推察されます。昭和3年の天江富弥氏の『こけし這子の話』によって全国にこけしが紹介されて、大人の鑑賞眼が意識されるようになりました。
大正・昭和初期(戦前)までは、日本も東北もあまり豊かではないものの、こけしは、どちらかと言えばひなびた中に生命力あふれるものが多く、また、中には静かな憂いを秘めたものがありました。
戦後、生活が豊かになるに従い、工人のこけしも明るく、華やかな表情や色彩に変わってきた様に感じます。そして、戦前の各系統別の伝承を受け継ぎ、新しい時代のこけし群となっていることは喜ばしいと思います。
こけしを大別して、戦前の古作と戦後の現代作と云われます。こうして受け継がれたこけしの”こころ”が次世代の工人によく受け継がれ、世界に誇る”郷土人形”として発展することを願って止みません。
こけしへの想い 亀井昭伍 私記②より 『古作こけし名品展』
◆同時開催◆
齊藤純廣コレクションより 「今 晃 おひなさま展」
2月25日(火)~3月29日(日)
掲載 2020年01月22日