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こけし特別展「歴史的発見!高橋五郎氏のこけし研究より」
本展は、近年のこけし研究の成果である、「岩松直助文書」、「古肘折こけし」発見という、高橋五郎氏(仙台市在住の音楽家・こけし研究家)による二つの”歴史的発見”を紹介していこうとするものです。
●「岩松直助文書」発見!
昭和56年暮れ、仙台市芋沢の旧家において、最古のこけし資料「岩松直助文書」が発見されました。作並の古い木地屋に代々伝えられてきた文書で、その内容は驚異的なものでした。
こけしに関する最古の文献資料の発見により、具体的にこけしが江戸後期には既に存在し、かつ相当な程度 ”規格化” ”商品化” され、売買されてきていたことが裏付けられることになりました。そして、さらにこれまで知られてこなかった系統、「古作並」系と言える一群のこけし作者とこけしが存在していたことが明らかになり、作並が最古のこけし産地の一つであり、古作並を発信源として、その後の山形系、現在の作並系、仙台の高橋胞吉型の源流となっていたこと等が判明してきました。
【こけしの規格】
小人形、中人形など種類ごとに、頭や胴の寸法が規格化されていた。
【表紙】萬挽物扣帳
万延元年(1860)の年号が記されている。
●「古肘折こけし」の発見について!
平成18年、山形県村山の古い農家の解体に際して、突如、それまで全く知られていない古い時代のこけしが発見されました。この謎の「古肘折こけし」を柿崎(井上)藤五郎作と認定することにより、現在の肘折系と異なる、創生期の古肘折系のこけしの一端をうかがうことができるようになりました。
さらに、この柿崎藤五郎が師事していた宮城県遠刈田新地の佐藤周右衛門、周治郎一家のこけしとつながり、様々な類推が可能となります。この明治20年ごろの周治郎家には、遠刈田の寅治、直治(小原)、直助。弥冶郎の佐藤栄治。肘折の柿崎(井上)藤五郎。飯坂の佐藤栄治など、その後の各系統発生の祖となり核となる作者が一堂に会しており、その影響関係、系統発生のプロセスがかなり推測できるようになり、これまで作者がわからなかった、作者不明のこけし(例えば、最古の遠刈田こけしと目されるもの)に関しても、一定の推定が可能となりました。
【最古の肘折こけし】
柿崎(井上)藤五郎 8寸7分(26.6cm)
左 柿崎(井上)藤五郎
中 最古の遠刈田こけし
(佐藤周右衛門、周治郎か・・・)
右 佐藤栄治(弥治郎)
●高橋五郎氏の紹介