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浜田晋氏寄贈による 新収蔵こけし展
浜田 晋(はまだ すすむ)氏(1926-2010)は、長年にわたり精神科医としての仕事に従事するかたわら、
版画、こけしの蒐集など多彩な趣味を追及する生き方を貫きました。
浜田氏は、大病院勤務の地位を離れ、下町の精神科医としての道を選び、「精神科医としてではなく、
こころ医者」を目指したといいます。
精神診療所のパイオニアとしてのその貢献は高く評価されていて、また多くの著書も残されております。
このたび、その「こけし」を当館にご寄贈いただきました。
浜田氏の言葉を見つけました。
『賽の河原のような仕事の連続で疲れはて絶望的になることがしばしばありました。
そんな中、私を励ましてくれたいくつかの力があります』
こけしが、浜田氏を励ますそのひとつであったことでしょう。
もう一つ、心に残る浜田氏の言葉がありました。
『その蒐集の過程で、多くの作家さんや画商の方々と親交を温めることが出来ました。
一精神科医が多くの方々との出会いとともに集めたものです。』
コレクションは、ひとりの個人の足跡のようでありますが、その足跡はその個人が関わった
多くの仲間と紡いできたものでもあるのでしょう。
参考文献『多摩美術大学美術館コレクション展 浜田晋コレクションの版画』
左:秋田・木地山の旅 小椋久太郎工人と浜田氏
右:宮城・鳴子の旅
「こけしの旅も二人三脚」 浜田晋・雅ご夫妻
掲載 2014年07月27日